僕たちの超トークシリーズ vol.1「大人は分かってくれない」

 

 

親友の甥っ子(小5)が、何故か僕のファンらしい(笑)

実際に会ったのは2~3回程度だけど、その親友がちょくちょく僕の話をしているらしく「面白い人だなー」と憧れというか妙な関心というか、不思議な興味を抱いてしまったらしい。

よくよく話を聞いてみると、どうやら彼はちょっと浮いているらしく、小5にして読書家で物事を少しばかりナナメに捉えるクセがあり、文章力や表現力はあるのだが、大人が好む「小学生の在り方」からは少し逸脱していて、本人的には「何がいけないのだろう」と悩まされることが少なくない…そんなお子様らしい。

しかも僕と誕生日が一緒という、なんとも世にも微妙なお話…。

 

そんなこんなで僕らの会話は繰り広げられます。

無駄に長いので、お好きな方だけどうぞ。

 

 

「でさ、オレもその作文読んだけどさ、なんにも悪いこと書いてないんだよね。ただ読み方によっては確かに悪くとられる部分はあるかもだけど。先生に書き直しさせられたって」

 

「まあでも、オレが会った印象で言うと、すごく賢そうだよ。バランスが取れてそう。その点、オレの子供時代とは違うと思うなー。なにより、色んなことに興味持って動いてるじゃん。そこがオレと全然違う」

 

「そうだね。ボーイスカウトとかやってるし」

 

「あー、ボーイスカウトね。オレもね、小1のとき体験で行った」

 

「へー、知らなかった」

 

「絶対入りたくなかった。1、2回お試しで行ったけど、断固拒否したね。何故か分かるか?」

 

「集団行動がしたくなかった?」

 

「違う。あのファッションが嫌だったの。特にあの半ズボンが」

 

「小1なら半ズボンでいいじゃん」

 

「それ!それなんだよ!その大人が決めた “子供ってこういうもんだよね” っていうのがすごく嫌いで。少年野球とかでもさ “なんとかファイヤーズ” みたいな名前多いじゃん。ダセーッ!っつって。絶対その一員にはなりたくなかった。“わんぱく相撲” もね、嫌いだったな。“わんぱく” っていかにも大人目線から見た子供像じゃん。子供が自分で言うか?“僕はわんぱくです” って。そんな子供見たことある?」

 

「うーん。考えたことないわ(笑)」

 

「考えろよ!その天パーはなんのためにそんなモジャモジャしてんだ!?脳ミソ守るだめじゃないのか!?」

 

「違うと思う」

 

「そうですか」

 

「おう」

 

「でね、そういう “大人は分かってない感” みたいなものは常に持ってたし、今も持ってる。でも当時はさ、それでも大人ってやっぱり尊敬してた気がするんだよね。畏怖っていうか。理不尽とかトンチンカンなこと言われても、大人が言うんだからきっと間違ってはいないんだろうなくらいには思ってたんじゃないかな」

 

「特にオレらの時代は先生が強かったしね」

 

「そう。でもハタチくらいになると薄々気づくよね。“小学校のときの教師ってバカばっかりだったな”って。そりゃ全国的に見れば知らんけど、あくまでも自分の体験としてね。ホント、バカっていうかヤバかった」

 

「あんたの小学校は話聞くだけでも相当だからね(笑)」

 

「今だったら大問題。オレらの人権なんてなかったよ。それでも登校拒否とかはしなかったからね。1人転校しちゃったやつがいたけど。あまりに先生がひどくて(笑)」

 

「マジか」

 

「で、まあ話は飛ぶけど、結局本当の意味で “大人” なんていないと思うワケよ。子供の頃は大人は完璧に近い人間だと思ってたけどね、バクゼンと。でもどうやらそうでもないらしいぞと。そう思ったらさ、生きるのはそんなに難しくなくなるんだよね。オレはそれに気付くのに30年くらいかかったかな」

 

「あんたは昔から大人に逆らってたじゃん(笑)」

 

「いやいや、回りが兵隊みたいに黙って言うこと聞いてるような状況にイラ立つとかね、そういうときはつい口から何か出ちゃうとか(笑)そういうのはあったけど、基本的には大人とか年上の人間の言うことはそれなりに正しいんだっていう認識で生きてきたよ。で、結果どんどん個性を潰されたっていうね…ははは。あひゃひゃひゃ!」

 

「こわいこわい」

 

「ごめん、お薬の時間です」

 

「なんの?」

 

「はい?」

 

「なんの薬?」

 

「え?そこ掘り下げる?」

 

「…ごめん」

 

「(・_・)」

 

「なんでちょっと引いてんだよ!」

 

「何の話だっけ?お前の人生最高肩書がバイトリーダーって話だっけ?」

 

「バイトリーダーになったことないから!つーかさ、オレからしたらあんたはずっと筋通して生きてきたように見えるけど」

 

「オレの何を知ってるんだ」

 

「13歳以降はだいたい知ってる」

 

「(*^-^*)」

 

「何でちょっと照れてんだよ」

 

「あれ?ちょっと待てよ?確か中学の卒業文集に “学校はつまらん、教師は無能だ” みたいなことをマイルドに書いた気が…」

 

「甥っ子に読ませたよ(*^^*)」

 

「あッ!?ダメダメ!あんなん禁書だよ!せめてR18にしてください!」

 

「お前が15のときに書いたやつじゃねえか!いや、結構ちゃんとしてるよ?字がクソ上手いしね!ところどころイヤミっぽいけど…」

 

「まあ、あれだよ、まとめると若いうちはいっぱい悩めと、そういうことを言いたかったんだよ、その小5の彼にね。自分の脳で考えて、自分の中で答えを見つけてほしいと。一番ダメなのは何もかも分かってるような顔してアドバイスしてくる目上とか大人の意見だね。これ危険。まあこれ自体がオレからのアドバイスになっちゃうから彼には言わなくてもいいんだけど」

 

「でもたまに言うじゃん。恩師のあの一言が…とか、あのアドバイスが人生を…とか」

 

「知らん」

 

「いや、あんたには無かったかもしれないけど一般的に…」

 

「知らん」

 

「そうか」

 

「マジメな話すると、別にアドバイスとか聞いてもいいわけ。むしろそれが有益ならそれに従えと。でもそこには絶対自分の考えがなくちゃダメ。 “右と言われたから右を選んだ”じゃダメなのよ。なんでかっていうと後で他人のせいに出来るからね」

 

「他人を恨んじゃう?」

 

「ちょっと違う。なんだろ、難しいんだけど、オレは何が起きても自分に責任があるって思って生きてるんだよね。責任っていうと違うかなあ。まあ例えば、浮気されたとか金盗まれたとか、もっと言うと道でウンコ踏んでもさ“ここにウンコしたやつが悪い” じゃなくて “この道を歩いたオレが悪い” って思うワケよ」

 

「聖人じゃないすか!」

 

「まあオレだってたまには道にウンコするしね」

 

「え?そっち?」

 

「マジメな話、博愛主義とか無抵抗主義とかじゃなくてね、その方が楽なのよ。うまく言えないんだけど、自分が自分として生きてるかぎりはこの身に起こること…この意識が及ぶ範囲で起きるすべてのことは自分に責任…責任じゃないな、なんだろ…うーん、分かる?」

 

「なんとなく」

 

「オレが分かんねーのに、なんでお前が分かるんだよ!」

 

「ええぇ~……('_')」

 

「まあ簡単に言うと、他人とか自分以外のものに結果を押し付けても、自分の力じゃどうしようもないでしょ。でも自分にその原因があるって思えばいくらでも改善できるじゃん。自分が変わればいいんだから。そーゆーこと。単純に言うと」

 

「そういうのって強くなきゃ無理なんじゃない?」

 

「いや、全然。これはむしろ逃げの境地だと思ってる。楽に楽に考えた末に導き出した結論ってやつ。まあ結論なんていくらでも変わるけどね」

 

「そろそろ宗教でも開けば?」

 

「信者はここにいるしな」

 

「うん」

 

「うわっ!お前、いたのかッ!」

 

 

 

おしまい