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映画評vol.4「閉ざされた森」/二転三転四転……もうどうにでもなれ!?

映画のレビュー

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閉ざされた森(2003年・アメリカ)

 

【ストーリー】

ハリケーンの中、密林で米軍のレンジャー部隊が消息を絶たった。調査にあたった女性大尉オズボーン(コニー・ニールセン)と元レンジャー隊員ハーディー(ジョン・トラボルタ)は生還した2人の隊員から不可解な出来事を聞く……。(シネマトゥデイより)

 

 

※ちょいネタバレ感想です。

 

 

原題は「BASIC」。邦題は「閉ざされた森」。どちらもいまいちピンと来ないタイトルだ。もしかしたら邦題の方は、芥川龍之介の「藪の中」を意識して付けられたのかもしれない。

というのもこの映画自体が、その「藪の中」およびそれを原作とした黒沢明の「羅生門」ととてもよく似た構造を持った作品だからだ。

 

よく似た構造とは、「ある事件が起きたが、当事者たちの証言が全て食い違っていて、一体何が真実で何が嘘なのかが分からなくなっていく」というシチュエーションのことである。

「羅生門」よろしく本作も証言は二転三転…いや五転くらいしながら、観る者を混乱に陥れる。

 

シチュエーションは似ているが、「羅生門」と「閉ざられた森」には決定的に異なる点がある。

前者は人の業やエゴイズムを描いた観念的哲学的な作品であるが、後者はミステリー・サスペンス映画である。伏線があり、トリック(所謂「推理もの」のトリックではないが)があり、しっかりとパズルのピースを与えられ、そしてそれは収まるところにしか収まらないように出来ている(色々と設定上の無理やツッコミどころはあるが)。

当然「真実」は一つしかなく、明確な解答も用意されている…はずなのだが、この映画、そうとも言い切れないのが歯がゆい。むしろ「羅生門」の方が「真実」をきっちりと提示してくれているくらいだ。

 

というのも、本作で語られる証言は全部嘘だからだ!

証言は回想シーンのように描かれているが、これはあくまでも証言を元に主人公が想像した映像に過ぎない。全編通して、我々は本当に現場で起きたことの映像は見せてもらってはいないのだ。

その証言や新たな情報は、二転三転どころか四転五転とするものだから、こっちは「もう何でもいいや!」状態に。

 

最終的にはもちろん「真実」は提示されるものの、それだって「…と思ったら大間違いだ!」とそれこそ主人公に言わせれば、ストーリーは全く異なる形相を呈してくるし、そして実際そのように脚本を付け加えることだって可能だったりする。

劇中に「つじつまが合ってればいい」というセリフが出てくるが、皮肉にもそのセリフがこの映画の本質を突いている気がしてならない。

 

回想や証言で物語が錯綜していく作品は他にも「ユージュアル・サスペクツ」などがあるが、鮮やかなどんでん返しという意味でも「ユージュアル~」の方が一枚も二枚も上手である。

 

とはいえ、10分に1回くらいは起承転結の「転」が訪れる展開はテンポも良く、観ていて退屈するものではない。

例えるなら、引きが上手い週刊連載漫画みたいな味わいだ。「結末なんて作者(編集者)次第でどうにでもなる」みたいなところも似ている。

 

ワクワクしながら週刊連載漫画を読んでいる感覚に近い、という意味では楽しいことは楽しいが、いかんせん肝心の登場人物の顔と名前がなかなか一致させられないのがネックである。

ほとんど人物紹介もないまま暗い密林の緊迫シーンが続くので、この映画のキモである「さっきの証言ではAはなにやってたっけ?Bはあそこに居てCはそのとき…」といった推理や整理がほとんど出来ない。

ウエスト軍曹を「フルメタル・ジャケット」のハートマン軍曹よろしく憎たらしい鬼教官として描く(ミスリードする)ことに注力しすぎた感は否めない。

まあ僕(ら日本人)が外国人の顔を判別できないだけの話かもしれないが。

 

ラストシーンの妙な爽やかさで、何か良質なチームものの映画を観たような気分に浸れる(ほだされる?)ので、後味は悪くない。

 

 

 

 

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