変なおくさん エピソード6

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テレビ番組「アメトーーク」「ビビり-1グランプリ」という企画がある。

 

千原ジュニアやフジモンなどの「ビビり芸人」に対して、例えば突然後ろから肩を掴んだり、一人で待機している楽屋でハンガーを落としたり黒電話の音を響かせたり…などなど、あらゆるイタズラで驚かせ、そのリアクションを楽しむという人気企画だ。

 

その驚かせ方というのは文字通り「イタズラ」というレベルで、普通の人なら彼らのように絶叫したり腰を抜かして驚いたりはしない。

芸人の異常なリアクションがウケている一方で、その彼らのあまりにもオーバーなビビり具合にヤラセ疑惑すら出ていて、僕自身も番組を見ていると「いくらなんでもそんなに驚くかなあ?」と訝しむこともしばしば。

ヤラセというか過剰な演技なんだろうなあくらいには思ってしまうのだが、一方で「もしかしたら彼らは本気でビビっているのかも…」と信じてしまう自分もいる。

 

なぜなら、彼ら芸人たちと全く同じリアクションをする人間が身近にいるからである。

言わずもがな、それは僕の奥さんのことである。

 

例えば「アメトーーク」では「突然車内で携帯が鳴る」→「うわーッッ!!」という場面があるが、これと同じ現象は我が家でも頻繁に起きる。

ウチの場合は着信ではなく、僕がすぐ近くでゲームアプリを起動しタイトル画面で音楽が鳴ったときに高確率で

「うにゃぁぁぁぁ!!!!!☆★(*'Д'*)」

と叫び声が響き渡る。

 

あまりにも日常茶飯事なことなので、その「うにゃぁぁぁぁ!!!!!☆★(*'Д'*)」に僕もいちいち反応はしないが、たまにイタズラ心でわざとスマホの音量設定をマックスにした状態でゲームを起動するときがある。

 

「ダーンッ!!!♪♪」と一瞬響き渡る音。

 

………。

……あれ?

奥さんは何も言わない。驚いてないどころか、表情すら一切変わっていない。

 

「あれ?ビビらなかった?さすがにもうバレてた?」と訊いてみると奥さん、

「………」

返事がない。

「おい、どうした…」とさらに話しかけるとカスレ声で

「び、び、ビビりすぎて………い、息が…でき、できない…('ω')」という回答。

 

いきなり大音量がなれば誰だってビビるでしょ?と思われるかもしれないが、奥さんのビビりとしての実力はまだまだこんなもんじゃあない。

 

ある日、(珍しく)奥さんが夕食後の洗い物をしているとき、僕は普通に(いたって普通に!)うしろから「あのさ、そういえば…」と話しかけた。

その途端キッチンに

「きゃあぁぁぁぁぁッ!!!!!( ゚Д゚)」

という絶叫がこだました。

 

これにはさすがの僕もイラっとた。僕は普通に話しかけただけなのだ。それをまるで変質者でも現れたような反応で迎えられるとは、これ如何に!!?

心外だ!まことに遺憾だ!!

 

僕は思わずため息まじりに「おい…いいかげにしろよ…!」とちょっと強めの口調になり、そのまま今までの分も含めて「いちいち、ビビりすぎなんだよ!なんなんだよ!普通に話しかけただけで叫ばれたらなんも言えねーよ!」と文句をぶつけてしまった。

ここまで言ったところで心の中で「ちょっと言い過ぎたかも」と思ったがもう遅い。

奥さんは洗い物を続けながら「グス……グス……」と鼻をすすり始めてしまった。

「え?泣いてんの?マジで?」

「だって…ビックリしただけで…グス…そんなに言わなくても……グス…(´;ω;`)」

という、最悪の展開に。

「もう知らん!!」

こうなったらこれ以上何も言わないのが吉である。

 

このように、奥さんはビビりと泣き虫の合わせ技を持ち合わせた相当な手練れなのだが、その「泣き虫編」はまた次の機会で。

ついでに言うと、このあと1時間もすればさっき泣いたことは幻だったかのごとく普通に話しかけてきたりするブッ壊れ性能も搭載しているのだが、それもまた別の機会で。

 

というわけで「アメトーーク」のリアクションは本物かもしれないと思う今日この頃であった。

 

おまけ

試しに今、手を「パンッ!」と1回叩いてみた。

後ろから「にゃッ!?」という短い叫び声が聞こえた。