今回は「似顔絵通販の価格」に迫ってみたいと思います。
ぶっちゃけ似顔絵通販って高いと思いませんか?
ズバリ、
・なぜ似顔絵通販は高いのか?
・その価格に妥当性はあるのか?
・賢い似顔絵通販の選び方とは?
といったところを解説したいと思います。
ただし、あくまでも僕の私見であり、仮説です。
…でも、経験に裏打ちされた仮説でもあります。
この業界はみなさんが思っている以上に闇が深く、かなりいい加減なのです…。
似顔絵はネット通販時代へ
「似顔絵を描いてもらおう」と思ったとき、あなたはどんなイメージを抱くでしょうか?
少し検索すると分かると思いますが、その方法は大きく分けて「ショッピングモールなどに出店しているところで直接描いてもらう(以下「席描き」)」or「ネット通販で注文する(以下「通販」)」の二つに分かれると思います。
5年くらい前までは似顔絵の主流は「席描き」でしたが、今はスマホの普及なんかもあって「通販」が活気づいています。
カップルなんかが記念日などで自分たちをその場で描いてもらう分には席描きでも十分だと思いますが(その時間そのものが思い出になったりしますし)、プレゼント用やウェルカムボード用となるともう少しじっくり丁寧に描いてほしいところです。
それは描く側も同じで「ウェルカムボードに使うものを30分で描きたくない…」みたいな気分が業界全体に漂い、近年の似顔絵作家たちは通販に力を入れ始めました(もちろん、理由は他にもあると思いますが)。
似顔絵通販サイトって…高くない?
そんな「似顔絵通販戦国時代」真っ盛りの昨今ですが、ネットで検索して各サイトを見ているとこんなことを思うのです。
「(値段が)高くね…!?」
そう、かなり高額なのです。
店頭価格の3~4倍!!
席描きならば色紙サイズに1名1,500~2,000円くらいが相場です。
これが通販となると7,000円~10,000円!
まあ5,000〜6,000円代ならかなり安い方でしょう。
だいたいザっと見た感じの相場は8,000円くらいだと思います。
10,000円近くのネットショップもわりと普通に見かけます。
席描きより何倍も時間が掛かるとは言え、1名10,000円とかはいくらなんでも足元見過ぎなんじゃないか!?
敢えて言おう、ボッタクリであるとッ!!
高額になるカラクリ
ボッタクリという言い方は乱暴ですかね。
でもやっぱり色紙サイズに1人描いてもらって1万円は……ねえ?
では、なぜそんなに高額になってしまうのか!?
その原因…というか僕の仮説なんですが、それは「過去の慣例をそのまま引き継いでしまっている」のではないか?ということです。
前述の通り、かつての似顔絵の主流は席描きでした。
12~3年くらい前がピークだったと思います。
その頃はスマホもSNSもほとんど普及していなかったし、携帯のカメラの性能もまだまだだったので「通販で似顔絵を」という発想はあまりありませんでした。
それくらいの時代の似顔絵通販は封書で現物の写真を送ってもらったり、文字数制限のあるメール、あるいは電話で直接何度もヒアリングを重ねたりするなど、とにかく手間が掛かるものでした。
出店しているならそこで直接お客様とやりとりした方がよっぽど効率も良いし、そもそも通販は、遠方に住んでいてなかなか直接描いてもらう機会がない人のためのもの、という位置付けでした。
そういったわけで、通常の席描きよりも3~4倍くらいの価格設定になったわけで、そこに妥当性はあると思います。
手間は減っても価格は変わらず
「通販は高い。そういうもの」そんなヘンな常識が、技術がこれだけ進歩した現代でも未だ根強く残っています。
というよりも多分、誰もそのへんを疑問視していない、と言った方が正しいかもしれません。
実際、今のスマホカメラは拡大縮小も自在ですし画質も鮮明です。なんなら動画も送ってもらえばその人の雰囲気がより伝わりますし、送受信の手軽さも10年前とは比べ物になりません。
写真から似顔絵を描く労力はかなり減っています。
手間は何分の1にも縮小したはずなのに、お値段は据え置きでございます!!
これって、業界全体でユーザーを欺いているんじゃないですか?
それは言い過ぎでしょうか。
組織の上層部がどういう考えかは分かりませんが、似顔絵師からは「絵の値段なんて普通の人は分からないから」「高くても買うんならいいんじゃない?」という声を聞いたことがあります。
席描きが1,800円とかなのに、同じサイズ同じ人数で通販は8,000円。
これが今の似顔絵界の値段設定です。
確かに通販は、時間の制約がある席描きよりじっくり丁寧に描けます。その分だけ高額になるのは当然です。
しかし多くの企業が通信技術の進歩を全く考慮しないままという点は、僕としては座視できないポイントです。
似顔絵の本当の価格
そもそも、例えば1枚8,000円だとして、似顔絵師はいくらもらえるのでしょうか?
その内訳を解説したいと思います。
似顔絵1枚の価格内訳
基本的にこの業界は歩合制です。全ての会社がそうというわけではないですが、まあほぼ間違いなく歩合制でやってます。
最近話題の吉本興業のように「タレント(似顔絵師)一人一人が個人事業主で、会社はその人たちと出来高払いで契約している」という感じです。
ちなみに契約の形によっては、我々の世界にもたまに「闇営業問題」が発生したりしなかったり。
で、その報酬の内訳ですが、だいたい半分が作家の取り分で、残り半分が会社です。
4,000円…作家の給料(メールなどの事務手数料込み、梱包代負担の場合あり)。
4,000円…会社の取り分。
これも会社によって違うのですが、例えばお客さんとの連絡や発送まで全部やってくれるところもあるし、60%くらいもらえるけどそれらの仕事も全部作家自身でやるところもあります。
中間マージンが価格を上げる
まあかなり大雑把な計算ですが1枚8,000円の絵のうち、3,000〜4,000円くらいは会社への中間マージンということになります。
先日テレビ(日本テレビ「幸せ!ボンビーガール」)で「ペットのイラストを油絵で描く女性」を観たのですが、その価格が1枚5,000円でした。
それが適正価格がどうかは議論されているようですが(油絵ですし、僕は安すぎると思いますが…)、これもある意味ではフリーだからこそ実現できた価格設定です。
もし彼女がサイトに登録したり、そういう会社に所属してネット販売する場合は、同じ作品でも販売価格1万円とかになるでしょう。
似顔絵通販の正しい選び方
出来れば支払う金額は安く抑えたいところです。
でもクオリティーも気になる…。
そんな人に僕なりの「似顔絵通販の選び方」をご紹介します。
フリーの似顔絵師がオススメ!
フリーの人には中間マージンがありませんので、余計なお金を払わずに済みます。
個人でホームページを開設しているところは4,000円~6,000円くらいが相場かなという印象です。
そして、そういう人はかなり上手です。
それも当然な話で、会社のお膳立てが無くてもやっていける実力があるからこそ完全フリーで活動出来ているのです。
それともうひとつ「臨機応変に対応してくれる可能性が高い」という利点も見逃せません。
例えば納期だったり、紙のサイズや種類だったり、会社経由だとどうしてもルールが厳しくなりがちですが、フリー似顔絵師の場合は本人の気持ち次第でやってくれたりしますので、そのあたりも魅力のひとつです。
一応言っておくと、僕の「にがおえレインボー」も会社ではなく個人で営業している、いわゆるフリーの似顔絵屋さんです。
また「絵そのものの価値以上のお金を、お客様に払わせたくない」という信念のもとフリーで頑張っている良心的な画家さんも結構います。
(会社に所属している作家さんは良心的じゃない、という意味ではありません)
そして似顔絵通販の適正価格は原価や時給に換算するとだいたい1名5,000円前後くらいです(これに送料などが加わります)。
ちなみに僕のところは色紙に1名様5,800円でやっていますが、送料は全国どこでも無料です。
さらに「ゆっくり便」や「クーポン」や「掲載OKで500円引き」などもありますので(すべて併用可能)、4,000円を切るなんてこともあります。
もちろん下描き時点でのキャンセルも可能です(ほぼありませんが…)
※適正価格についてはいつか書きたいと思います。
「その絵が好きかどうか」が最も重要!
もちろん「気に入った絵柄の人にお願いする」というのが大前提です。
高くても「どうしてもその人に描いてほしい」というのであれば1万円でも2万円でも出した方がいいでしょう。
ただし「人気そうだから」という理由で選ぶのは全くオススメできません。
実際、一見人気でいつも行列が出来てるのに何故かあまりリピーターが来ない似顔絵師、というパターンは結構あるんです。
簡単に言えば、サンプルはキャッチーで人の心を掴むけど……まあ単純に似てないんでしょうね(苦笑)
それと、1,000円とかウェルカムボードが3,000円!みたいに激安なところは、まず間違いなくプロとしての経験がほとんどない人たちなのでこれもオススメしません(ココナラ、とかminneあたりにいっぱいいます)。
まとめ
・通信技術の進歩で通販の似顔絵はかなりラクになったが、価格は昔のまま。
・お客さんが払う金額の半分近くは会社への中間マージン。
・完全フリーの実力派似顔絵師に頼むのがオススメ。
・しかし作家選びの最大の決め手は人気や価格ではなく「絵を気に入るか」。
次回、時間があれば各社の価格を徹底比較した記事を書こうかなと思っています。