変なおくさん エピソード5

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基本的に僕らは、カワイイ生き物には目がない。

ベビーカーに乗っている赤ちゃんや散歩している犬などを発見するたびに

「お!良い頃合いのがいるぞ!」

「うおー!あのフォルムたまらんな~ッ!!!」

などと言いながら、二人で悶絶する始末。

 

そんな感じで赤ちゃんや犬猫などには僕もついついウットリしてしまうのだが、奥さんは鳥類や草花なんかにもレーダーが反応するらしく、小鳥なんか発見した日には

「あー、鳥さんだー!!」

とか言いながら小走りになったりするのは日常茶飯事。

 

もうすぐアラサーと呼ばれてもいいくらいの年齢に突入するというのに「鳥さん」もないもんだとは思うが、さすがに僕も慣れているので、その言動に特にリアクションはしない。

たまに発見した鳥や草花などについてアレコレと説明されることもあるので、そのときは

「そう~。良かったね~。あら、すごいわね~、そう~」

と繰り返してればだいたい丸く収まる。

三歳児が一生懸命おしゃべりをしているときの母親のリアクションと同じである。

 

しかしたまに

妻「痛ッ!足ひねった!ねえ、助けて…!痛いよー」

僕「そう~。良かったね~。あら、すごいわね~、そう~」

妻「全然良くない…!」

ということもあるので、気を付けなければならない。

 

で、まあそんなメルヘンお花畑の奥さんだが、実は結構短気だったりする。

短気というかすぐにイラっとする。

なんて言うとものすごく印象が悪いので、彼女の名誉のために付け加えておくと「非常識や自分勝手な人間に人一倍敏感で」すぐにイラっとするのだ。

 

もっとも分かりやすい例が「歩きスマホ」だ。

ヘタすれば歩きスマホが視界に入っただけでイラっとしているし、その人とすれ違おうものなら確実に2~3人は殺ってる人間の表情に変貌する。

その殺人鬼の顔のまま、わざとこちらから歩きスマホの人にぶつかっていくくらいのコース取りを始めるものだから、僕としてはヒヤヒヤものである。

 

また、子供は好きだが小学生は苦手らしく(礼儀正しい子は好き)、マナーのなっていない小学生などが近くにいれば

「クソガキが……ッ」

とつぶやき、すぐに殺人鬼モードに移行。

 

が、目の前で一歳児があくびなんかをしようものなら

「あぁぁぁぁ!!たまらんッ!!」

と目をハートマークにさせてまたメルヘンモードへ。

 

僕からすれば、奥さんのイラっと感は(全部とは言わないが)すごく子供じみていて、結局はそれもまた「自分の都合やわがまま」に過ぎない。

つまり、彼女が「自分勝手なことするんじゃねー!」と憤慨していることもまた自分の都合であり、本質的には非常識な(に見える)人たちと変わらないのだ。

 

そんなわけで、歩きスマホにわざと小タックルしようとする彼女に

「オレたちだってそのときの都合で歩きスマホくらいするだろ?あの人だってたまたま急いでただけかもしれないし、簡単に非常識のレッテルを張るんじゃないよ」

としつけするときもある。

 

そのときの彼女のリアクションはだいたい2パターンで、ひとつは

「あ…兄貴がそう言うなら、このドスは引っ込めましょう…。おいお前!命拾いしたなッ!兄貴に感謝するんだな!」

…とは実際には言わないが、そんな苦虫を嚙み潰したような納得のいってない表情。

 

そしてもうひとつは、というかこのパターンがほとんどだが、単純に飼い主に怒られた小型犬よろしく

「ウゥ……」

と漏らすだけである。

 

レアケースとして

妻「さすが、徳が高い…」

僕「精進なさい…(アルカイック・スマイル)」

妻「はい…(号泣)」

というものもある。

 

…うん、これは嘘。